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神戸地方裁判所 昭和61年(わ)493号 判決 1987年1月20日

本籍

東京都渋谷区恵比寿西二丁目六番地

住居

兵庫県宝塚市仁川台六三九番地の五

宝石鑑定業

隼田好敏

昭和一六年九月一九日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、検察官濱岡良二出席のうえ審理をし、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一、四〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、昭和五八年一〇月までは大阪市南区大宝寺町中之町四八番地の川村ビルに事務所を置き、その後は同市同区鰻谷中之町七二番地の四の心斎橋岩崎ビルに事務所を置いて、日本ジエムテステイングセンター(略称GTC)の名で宝石鑑定業を営んでいたものであるが、自己の所得税の脱税を企て、

第一  昭和五七年分の総所得金額が五七、三八八、一九五円で、これに対する所得税額が二九、〇二六、七〇〇円であるのに、鑑定料収入の一部を除外し、よって得た資金を仮名預金にするなどの不正の手段を講じて所得の一部を秘匿したうえ、昭和五八年三月一一日、兵庫県西宮市江上町三番三五号の西宮税務署において、同税務署長に対し、右総所得金額が一三、四六四、一七六円で、これに対する所得税額が三、四五九、一〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により昭和五七年分の総所得に対する所得税額につき二五、五六七、六〇〇円の所得税を免れ、

第二  昭和五八年分の総所得金額が五八、六三一、〇七五円で、これに対する所得税額が二九、六一七、六〇〇円であるのに、前同様の手段を講じて所得の一部を秘匿したうえ、昭和五九年三月一二日、前記西宮税務署において、同税務署長に対し、右総所得金額が一〇、六三〇、八三〇円で、これに対する所得税額が二、一六一、五〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により昭和五八年分の総所得に対する所得税額につき二七、四五六、一〇〇円の所得税を免れ、

第三  昭和五九年分の総所得金額が三〇、九八三、三三七円で、これに対する所得税額が一二、一三六、八〇〇円であるのに、前同様の手段を講じて所得の一部を秘匿したうえ、昭和六〇年三月一一日、前記西宮税務署において、同税務署長に対し、右総所得金額が六、三九四、九七〇円で、これに対する所得税額が八六四、七〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により昭和五九年分の総所得に対する所得税額につき一一、二七二、一〇〇円の所得税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

本件公判調書中検察官請求分の証拠等関係カードに記載された、次の番号の標目を引用する。

番号 2~4、5~8、9~12、13、14~22、23~28、29~31、32、74、34、35~41、42、43~68、69~71

(法令の適用)

判示各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するが、第一及び第二の各罪については、情状により、罰金の多額を同条二項によることとし、第一ないし第三の各罪のいずれについても懲役と罰金とを併科し、これらは刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条、一〇条により第二の罪の懲役刑に法定の加重をするとともに、同法四八条二項により各罪の罰金額を合算し、これらの刑期及び金額の範囲で被告人を主文一項の刑に処し、刑法一八条に従い、罰金を完納することができないときの労役場留置を主文二項のとおり定め、刑法二五条一項を適用して主文三項のとおり懲役刑の執行を猶予することとする。

(裁判官 岡本健)

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